「うちのような中小企業が、海外の大企業と競争しても勝てない」
海外展開や外国企業との取引を考えたとき、そう感じる経営者は少なくありません。
確かに、資金力、人員、ブランド力、海外拠点の数などを比べれば、中小企業がグローバル企業に正面から勝負するのは簡単ではありません。
しかし、そもそも大企業と同じ土俵で戦う必要はありません。
中小企業には、大企業にはない強みがあります。
それは、
・意思決定の速さ
・専門分野への集中
・顧客ごとの柔軟な対応
・経営者自身が前面に出られること
・市場の変化にすぐ対応できること
です。
重要なのは、「会社の大きさ」で競争するのではなく、自社が勝てる場所を選び、限られた経営資源を集中させることです。
中小企業が大企業の真似をすると負ける
海外市場に進出するとき、多くの会社が最初に考えるのが、
「海外に拠点を作ろう」
「現地スタッフを採用しよう」
「広告費を増やそう」
「商品ラインナップを増やそう」
といった方法です。
しかし、これは資金力のある大企業が得意とする戦い方です。
中小企業が同じことをすれば、売上が伸びる前に固定費が増え、資金繰りが悪化する可能性があります。
中小企業が海外市場で最初に考えるべきなのは、
「何を増やすか」ではなく、「何をやらないか」
です。
市場、商品、顧客、販売方法を絞り込み、自社が勝てる領域へ経営資源を集中させる必要があります。
1.「世界市場」ではなく、小さな市場で一番を目指す
「海外展開」というと、中国、アメリカ、ASEAN、ヨーロッパなど巨大市場への進出を想像しがちです。
しかし、中小企業がいきなり巨大市場全体を狙う必要はありません。
たとえば、
・特定業界向けの部品
・特定用途だけに使われる製品
・日本独自の技術を必要とする企業
・日本企業との取引を希望する外国企業
・富裕層向けの高付加価値商品
・特殊な専門サービス
など、対象を細かく絞れば、大企業が積極的に参入しない市場が数多く存在します。
世界全体では小さな市場でも、自社にとって十分な売上規模があれば問題ありません。
むしろ、中小企業にとっては、
「大市場の1%を取る」より、「小さな市場で強い会社になる」
方が現実的です。
2.価格ではなく、「専門性」で選ばれる会社になる
海外企業との競争で最も避けたいのが、価格競争です。
人件費や製造コストの安い国の企業と価格だけで競争すると、日本企業は不利になりやすくなります。
そのため、
「安いから買う」
ではなく、
「この会社でなければ困る」
という状態を作ることが重要です。
たとえば、
・特定分野に強い技術
・短納期対応
・小ロット対応
・高品質
・カスタマイズ
・日本品質への信頼
・アフターサービス
・専門知識を含めた提案
といった要素です。
商品そのものだけではなく、商品+サービス+専門知識をセットで提供することで、価格以外の競争軸を作ることができます。
3.大企業より速く動く
中小企業にとって、非常に大きな武器になるのが「スピード」です。
大企業では、新しいプロジェクトを始める場合、
担当者
↓
部長
↓
役員
↓
本社承認
というように、多くの社内手続きが必要になることがあります。
一方、中小企業では経営者が判断すれば、その日のうちに意思決定することもできます。
たとえば、
「海外企業から突然問い合わせが来た」
という場合でも、
・当日中にオンライン面談を設定する
・すぐに見積書を出す
・仕様変更に対応する
・小規模なテスト取引を始める
といった動きができます。
海外ビジネスでは、完璧な計画よりも、
小さく始める → 数字を見る → 修正する
というスピードの方が重要になるケースも少なくありません。
4.海外展開は「固定費を増やさず」に始める
海外展開というと、
「海外法人を作らなければならない」
と思われがちですが、必ずしもそうではありません。
最初は、
・日本法人から直接輸出する
・海外企業と代理店契約を結ぶ
・海外ECを利用する
・オンラインでサービスを提供する
・現地パートナーと業務提携する
など、固定費を抑えた形で市場をテストする方法があります。
売上がまだない段階から、
オフィス
人件費
法人維持費
海外駐在員
専門家費用
などを抱えると、売上が伸びなくてもコストだけが発生します。
中小企業の海外展開では、
「まず売る。その後に組織を作る」
という順番を意識することが重要です。
5.「売上」より先に採算を見る
海外取引が始まると、
「海外売上が1億円になった」
といった数字に目が向きがちです。
しかし、海外ビジネスでは売上だけを見ていると、実際には利益がほとんど残っていないケースがあります。
たとえば、
売上 1億円
でも、
輸送費
関税
現地代理店手数料
販売手数料
為替差損
海外出張費
人件費
現地管理コスト
などを差し引いた結果、利益がほとんど残らないこともあります。
そのため、海外事業では必ず、
国別・商品別・取引先別の採算
を見る必要があります。
重要なのは、
「海外売上がいくらあるか」
ではなく、
「海外事業から最終的にいくら現金が残っているか」
です。
6.為替を「経理処理」ではなく経営問題として考える
海外ビジネスでは、為替も利益に大きな影響を与えます。
たとえば、1ドル150円のときに受注した案件でも、代金回収時に1ドル140円になれば、円換算の売上は大きく減ります。
逆に輸入企業であれば、円安によって仕入価格が急増する可能性があります。
それにもかかわらず、
「為替差損益は決算のときに確認する」
という会社は少なくありません。
本来は、
・契約通貨
・価格改定ルール
・入金サイト
・支払サイト
・外貨預金
・為替予約
・為替変動後の利益率
まで含めて管理する必要があります。
為替は経理部門だけの問題ではなく、経営戦略そのものです。
7.海外子会社は「任せっぱなし」にしない
海外子会社を持つ会社でよく起きるのが、
「現地社長に任せているので大丈夫」
という状態です。
しかし、問題が発生してから日本本社が把握するケースもあります。
特に確認したいのは、
・毎月の売上
・粗利益率
・営業利益
・売掛金
・在庫
・借入金
・銀行残高
・資金繰り
・本社との取引残高
です。
月次数字が3か月後に届くようでは、経営管理としては遅すぎます。
海外子会社についても、日本国内の会社と同じように、
月次で数字を確認し、異常があればすぐ対応できる仕組み
を作る必要があります。
中小企業の最大の武器は「社長が数字を見てすぐ動けること」
中小企業の海外展開で最も大切なのは、立派な海外戦略資料を作ることではありません。
必要なのは、
数字を見る
↓
問題を発見する
↓
経営者が判断する
↓
すぐ行動する
↓
結果をもう一度数字で確認する
というサイクルです。
このサイクルを速く回せる会社は、規模が小さくても強い。
逆に、売上規模が大きくても、意思決定が遅く、事業別採算が見えていなければ、経営環境の変化についていけません。
グローバル企業と「同じこと」をしない会社が勝つ
中小企業が海外市場で成功するために必要なのは、大企業になることではありません。
大企業にはできないことをやることです。
・ニッチ市場に集中する
・専門性を高める
・経営者が直接顧客と話す
・意思決定を速くする
・固定費を増やさず市場を試す
・採算を細かく管理する
・為替や資金繰りを数字で管理する
この戦い方であれば、中小企業でも十分に海外市場で存在感を発揮することができます。
海外事業で重要なのは、「進出すること」ではなく「利益を残すこと」
ダヴィンチコンサルティング株式会社では、中小企業・オーナー企業の海外取引や海外事業について、単に「海外進出すべきか」という視点だけではなく、
・海外事業の採算分析
・海外進出時の事業計画・資金計画
・海外子会社の予算・資金管理
・海外子会社の月次報告体制の構築
・外貨取引の採算管理
・為替変動による利益への影響分析
・経営者向け管理資料の作成
など、財務・経営の視点から海外事業を支援しています。
海外取引を始めたいが何から確認すればよいかわからない。
海外売上は増えているが、本当に利益が出ているのかわからない。
海外子会社の数字が見えない。
為替の変動によって採算がどの程度変化するのかわからない。
このような課題がある場合は、一度、海外事業を「売上」ではなく「数字とキャッシュ」の視点から整理してみることをおすすめします。
海外事業を拡大する前に、現在の採算・資金・為替リスクを整理したい経営者の方は、ダヴィンチコンサルティング株式会社へご相談ください。
経営者と一緒に数字を確認し、海外事業を「売上を作る事業」から「利益とキャッシュを残す事業」へ変えていきます。
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